Sujit Velmurugan
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2025年5月23日
2代目職人/CEO
上林博之
私たちの工房は、 1200年以上の歴史を持つろうけつ染めの技術を京都で継承し、上桂に工房を独立しました。
家族の歴史
父は京都の染工房で修行を積み、その技術を習得した後、京都の上桂に工房を設立しました。そして、私たちは60年以上もの間、京都上桂で京染、ろうけつ染めの技術を継承してきました。
(左:京都染元しょうび苑創設者 上林勝美)
上桂の歴史
8世紀、大陸からの渡来人である秦氏は嵐山から用水路を掘りました。彼らの技術によって、この地域は貴族の邸宅となり、農業、染色、酒造りが盛んになりました。ろうけつ染めも同時期に大陸から伝わり、この地域を代表する工芸品の一つとなりました。
ろうけつ染めの特徴
防染の蝋
蝋は約140-160℃で溶けます。この熱い蝋を布地に刷毛で塗ると、布地に染み込んですぐに固まり、染料が付着するのを防ぎます。
ろうけつ染めのひび割れ
布を優しく揉んだり曲げたりすることで、蝋に小さなひび割れを作ります。そのひび割れから染料が染み出し、稲妻のような繊細な線「ひびわれ」や「蝋吹雪」が生まれます。一枚一枚の作品に、柔らかな曲線とひび割れ模様が織りなす、二度と繰り返されることのない、唯一無二の模様が生まれます。
伝統を次の世代へ
創業から63年を経た現在も、京都の染織の歴史の中で、私たちの工房は「若い」工房とみなされています。現在、ろうけつ染めを続けている工房はほんの一握りで、京都で広幅の生地を染めることができるのは私たちの工房だけです。私たちは、100年後にもこの工芸を守り、その美しさを伝えるにはどうすればよいかを常に考えています。蝋、染料、そして手作業で生み出されるひび割れが織りなす静かな魔法が、未来の世代にも受け継がれていくように。
ミッション
臈纈染の伝統を受け継ぎ、未来を共創する。
不完全である美しさを臈纈染が教えてくれた。 臈纈染の最大の特徴は、ひび割れ模様。 天平時代より伝わる伝統染色技法 ”臈纈染” 当時は、作品にひび割れ模様が入ると欠陥品とみなされ、ひび割れ模様のない完璧な製品のみを臈纈染として 扱っていました。染色に機械化が進み、完璧な作品は機械が作れるようになった現在、 何を持って臈纈染と言うのでしょうか。 私たちは、ひび割れ模様が生み出す不完全の美しさを臈纈染の美しさと定義しています。 臈纈染で人間らしさを表現し、この美しさを後世へと伝え、未来の美を共創します。
ビジョン
Humanistic Craft /人間らしいものづくりに立ち返る。
作品に現れる人間らしい一面に人は心を動かされ、作品をより深く感じることができます。 人の手で作られたからこその味わい。人の手だから生まれた偶然の模様。自然と共存する中で生まれる価値観。 機械化が進み失われた人間らしさ。全てが完璧に作られた社会。好きいる隙間もないような空間。人間よりAI。 現代社会を生きる中に少しでも人間らしさのある作品に触れることで心を動かされ、豊かになります。 心に人間らしい彩を創るものづくりを私たちは伝え続けます。