工程1
柄合わせ・下書き
等倍サイズのデザインに青花ペンと呼ばれる専用のペンで生地に下書きをします。この際、生地とデザインが少しでもズレると染色後の柄に大きなズレを生じさせます。そのため、デザイン画と生地が動かないよう、慎重にデザイン画を配置し、針とテープで固定し、生地にデザインを下書きします。単純な作業に見えますが、ここでの少しのズレが完成に大きく響くため、慎重にかつ繊細に作業を行う必要性があります。
工程2
蝋描き
工程①で下書きをした生地に140度から160度(気温、湿度によって変化)まで熱した蝋を筆を使用し、下書き通りに蝋を生地に染み込ませていきます。蝋は、防染の役割をするため、蝋の付いた部分は、工程③の染めによって染まることなく柄を作ります。蝋は、温度変化に弱く、一筆描くとすぐに冷え固まり、生地に染み込みづらくなるため、鍋にある蝋に筆を浸し、適切な温度まで戻し、再度筆を使用します。通常の絵の具用の筆では、高温に耐えきれず、臈纈染専用の筆を使用しています。
工程③
手染め
工程②で蝋描きの終えた生地を染色液におよそ20分浸します。この際、井戸から汲み上げた京都の地下水を使用して一年を通して同じ水温で染色を行います。また、染色用蝋の融点は約60度なので、すでに生地に染み込んだ蝋は固まり、さらに18度染色液に浸すことで、蝋は固まり、固まった蝋を手で砕くことによって、蝋にひび割れが生じ、亀裂の隙間から染色液が染み込み、臈纈染の最大の特徴であるひび割れ模様が生まれます。人間の手で染色しているからこそのひび割れ模様、世界にふたつとない表情を生み出します。
工程4
蝋落とし
工程③で染色した生地を約1日ほど乾燥させたのち、沸騰させたお湯にて、生地についた蝋を落とします。生地から落ちた蝋は、水と分離し、浮かび上がるので、蝋を回収し、再度使用することができます。蝋は繰り返し使用することができるので環境への負荷が少なく、持続可能な染色方法です。
工程5
縫製
染色の工程が終わり、暖簾に縫製を行います。染め上がった生地の柄を合わせ、ミシンもしくは、手で暖簾に仕立て上げます。
この際、左右の柄がずれないよう、職人がひとつひとつ柄を合わせ、縫製します。
当工房では、暖簾制作の工程を職人が全て行い、製品の品質管理向上を行っております